寄り道したっていいじゃない

人生の寄り道って、不安だけど面白い。

切なさMAXの石田衣良さん


読み終わった後、

切なさで涙が目に溜まった昼前の電車



思わず出勤前に泣いて、

メイクを落とすところだったわ💋




そんな切なさ100%のお話が




「十一月のつぼみ」




私の大好きな石田衣良さんの



1ポンドの悲しみ」の中の一作。




短編集ね。



石田衣良さんは、「娼年」がきっかけで好きになって、そこから様々な恋愛作品を読んだわ♡



なんと言っても、

人の気持ちの動きが繊細に書かれているところが魅力的。



男性視点も、女性視点も、

リアルな気持ちが書かれていて、

感情移入どころか、

自分の気持ちのように思えてしまう。



もちろん、フィクションだけれども、

舞台が実際にある地名のせいか、

よりリアルに登場人物たちを感じる。





さて、本題の「十一月のつぼみ」について。



主人公、英恵は30後半の主婦。

仕事でパソコンと終始くっついている夫と、

やんちゃな5歳の息子と暮らしている。

ごく普通の家庭だけど、女として、人として枯れていく自分が怖くなっていた。



そんな英恵は花屋で仕事をしていて、

常連客となっている20後半の年下男性・芹沢の存在が気になっている。

相手には彼女がいることも、

自分には家庭があることも承知だけど、

枯れた自分を潤してくれるような言葉をかけてくれる彼に惹かれていた。



でもある日、

芹沢に誘われ、二人っきりで散歩をするが、

家庭のことが過ぎり、

外で二人で会うことはこれっきりにする、と伝える。

何かを感じた芹沢は、それを受け止め、

自分は来月から遠くに転勤になる、またお会いできるかもわからないから、気持ちは伝えたかった、と告げた。


そして二人は別れてしまう



ここの切ないところは、

両片思いなのに、

お互いそれぞれパートナーやかけがえのないものがいたことで、

思い留まり、その時の気持ちに蓋をしてしまうところ


芹沢は英恵と初めて出会ったその日に、

彼女と別れていて、

英恵に会うために花屋に通っていたのだ。


英恵がそれを知ったのはデートに誘われた日だった。

突然の告白で、驚き、嬉しさで満たされたが、

現実に目を向ける。


結婚してから、自分の顔を見ることなく、

仕事にはりつき、

すっかりくたびれてしまった夫。

やんちゃ盛りで、子育ての大変さに拍車をかける息子。


その二人、家族を見ていて暗くなりはしたものの、

何かを始めるには、何かをきちんと終わらせなければと、

心に決め、家庭を取り、自分の恋心に終止符を打った。




両片思いなのに、

現状結ばれることは許されないと

お互いに引き下がるところがもう泣く。




今の自分の気持ちに従いなよ!

自分を喜ばせてあげてよ!!!


と一女として、心の中で叫んだけど、

実際に英恵の立場になった時、

果たしてそれが本人にいい事なのだろうか?

家庭を捨て、愛してくれるであろう男と一緒になる。それもあり。

でも、嫌になる決定打に欠ける家庭をすぐに手放せるものなのかしら?

夫は体が弱いけども、フリーランスで頑張って働いている。

息子はまだ5歳でやんちゃなだけ。子育てはこれから変わっていく。


そう思うと、まだこの先に光のある未来があるのかもしれない

終わりきれない。



そう心に決めて、好きな人をふる。



そしてそれに対して、

問いただすことなく、察し、

踏ん切りをつけようとする芹沢




もし、二人がお互いフリーだったら、

素敵なカップルだっただろうな


タイミングって、大事なんだなと感じざるを得ないお話だったわ😌