人物設定やシチュエーションが刺さる
官能小説が読みたい。
漠然とそう思った性欲盛んな私は、
すぐにネットで官能小説でオススメとされている本を探したわ。
窪美澄
新潮社
短編集だけど、どこか話が繋がっている構成の本書。
私はその中の、
「ミクマリ」
「世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸」
の二篇を読み終えたところよ😌
高一の男の子、斉藤くんは一回り年上の主婦のあんず(本名・里美)と知り合い、セックスする仲に…。
そんなお話を二人の視点から書いているのが、この二篇。
前者は斉藤くん視点。
男子高校生っぽく、友達とだべり、彼女とイチャイチャし、それなりに青春を楽しんでいたの。
けど、ひょんなことから"あんず"と名乗る主婦と知り合って、その人とセックスする日々を送り始める。そのセックスはコスプレをし、台本の通りにする変わったものではあったけど、初めてのセックスもそれで迎え、彼自身もそれに慣れてきていた。
あんずは可愛いわけでもなく、痩せているわけでもない。だからセックスをしている最中は、あまりあんずのことを見ないようにしていた。ただ、セックスに集中するだけ。
でも、徐々に斉藤くんの中であんずの存在がただのセックス相手ではなくなってきて、あんずがアメリカに行ってしまうのでこれ以上会えないことがわかると、「行かないでよ」と口にしてしまう………。
ああ、もうダメ。
こういう、「初めはただのセフレみたいな感じで特別な感情もなかった…はずなのに、気づいたら相手のことを気にしていて、好きになってて、必死になっちゃう」シチュエーション好き!!!!!!
それを男子高校生にやらせるとは………
窪美澄さん、わかってらっしゃる👏👏👏
また、この人妻のところに通うガキんちょ感残る思春期真っ只中の男の子っていうのも最高。
特段モテるわけでもなく、平均的。それなり彼女もできる。
いたって普通、な設定がまた現実味を帯び、禁忌感を上げ、ゾクゾクさせる…!
正しくエンターテインメント✨✨✨
(私、禁断な関係が好きなの♡もちろん、フィクションの中でだけね)
そして、後者はあんず、こと主婦の里美視点。
両親を早くに亡くし、小さい頃からデブだ、ブスだ、なんだのでいじめられていた女性。
それは大人になった今でも続いていた。
一応は結婚しているものの、相手は同じく冴えず、いじめられていた経験もあり、ほぼ里美のストーカーも同然のような慶一郎。
そしてその母であるマチコ。孫を見たいがために、子どもが欲しいわけでもない夫婦に、いらんお節介ばかりしてくる。里美と慶一郎はお互い子どもができにくい体であり、それが判明したにも関わらず、マチコは孫作りを諦めない。
現実にいたら最悪だな、マチコ。笑
なーんて苦笑していた私。
でも、現実にも遠回しだけどハッキリと「子どもを産め」と言ってくる人がまだいることを思い出し、あまり笑えなくなったわね😔
そんな二人しかコミュニケーションをとる人がいない里美はオタクで、そのイベントを通じて斉藤くんと出会うことになるの。
どんどん老いていく夫にゾッとしていた里美にとって、背も高く、若々しい肌をしている成長期真っ只中な斉藤くんは男らしく見えた。
また、初めてのセックスに戸惑って震える斉藤くんが可愛く見えてさらに愛おしく感じるようになる。
斉藤くんとの子だったら、産みたいな。
斉藤くんとだったら、どこでもやっていけるのにな。
いつしか斉藤くんとの生活を妄想するようになり、彼女の楽しみにもなっていった。
現実逃避、わかります。
でもそんな楽しい日々は長くは続かなかった。
自分の家(つまり、里美夫婦の家)に男の子を連れてセックスしていたことが、慶一郎の仕掛けた隠しカメラでとうとうバレる。
これをきっかけに別れられればと里美は離婚を申し出るが、泣きじゃくる慶一郎は却下。むしろそんなことをしたら周りにセックスしている動画を見せびらかすとまで脅してきた。そんな慶一郎の背中をさすりながら、マチコは何も聞いていなかったようにアメリカでの代理出産のことを切り出し、行くことが決定した。
絶望を通り越し、虚無になる里美。
そんな里美の元に自分の気持ちに気づいた斉藤くんは戻ってきた。隠しカメラが溢れるリビングで、幸せで激しいセックスをして、二人は幸せを噛み締めるのでした……。
幸せになってよ~~~~😭😭😭
読み終わった(心の中での)第一声だったわ。
この後二人で駆け落ちして、セックスを求め合う、熱い二人でいてほしいわ!!!願わくば!!!
斉藤くんに会うまで、唯一気持ちよくなれたのが、"BL同人誌をオカズにしてのオナニー"だった里美に親近感を強く感じたから、この物語の二人をより応援したくなったの😊
やっぱりそういうので感じる人もいるわよね~~~♡実際にはお会いしていないけど、このキャラクターを生み出す、その想像をする人がこの世にいるというだけで、私は興奮し、嬉しくなったわ💋✨✨
仲間がいるだけで嬉しくなるのってつくづく不思議だわ。笑
そんな里美も、斉藤くんとのセックスで絶頂を何度も迎えるようになり、生活も楽しくなりつつあったの。
"いけないこと"とは自覚していても、やっぱり止められない。
斉藤くんも、コスプレ衣装がめちゃくちゃあってない、小太りでアニメのキャラクターみたいな声で喘ぐ主婦なのに、なぜか愛おしく感じ、足を運んでしまう。
禁忌だとわかっているのに、歩み寄ってしまう二人が切なく熱い。
この二人みたいにお互いを求め合い、貪るような、でもどこかあたたかいセックスってやっぱりとても良いものなんだろうなーと、しみじみ感じたわね😌
本書はまだあと3篇あるので、この二人の結末がまだ先にあるのかもしれないけど、
ひとまずは今のこの思いを文字にしたく、ブログとしてアップさせていただくわ💄💋
美男美女ではなく、ごく平凡などこにでもいそうな人物で繰り広げるちょっと危険な不倫関係の日々。
このスリルがあるからこそ、小説は面白い。