寄り道したっていいじゃない

人生の寄り道って、不安だけど面白い。

あの人は、今……!?


「こんな人になりたいな」



そう思える人に、あなたはどれだけ出会えたかしら?😌



私はたくさんお会いした。

素敵、かっこいいなって、思える人に出会えたわ。



その中でも、小さな頃、

良い意味で強烈に記憶に残っている人がいる。




私がまだ幼稚園児だった頃。



習い事の帰りに母と帰りのバスを待っていた。



お昼を過ぎた午後で、人はほとんどおらず、

少ない車がゆっくりと道路を走っていた。



私は帰り道ショッピングセンターで風船をもらっていた。


赤い風船。


とにかく風船が好きだった私は、もらえてすごく喜んでいたわ。



空を背景に浮かんでいる風船を繋いでいる細い糸を、くんくん引っ張る。

風船が自分に近づいたり、離れていきそうになるのを楽しんでいた。




そんな大好きな風船だが、よく私の手から離れていってしまう。

案の定、その日も糸を離してしまい、スゥーっと空へ飛んでいく。



「あっ」と小さく叫ぶ私を置いていき、

風船は風に煽られながら道路上を横切る。


頭上にいった時点で戻ったことはなかったので、その時も結果が見え、涙で視界がぼやきかけた。




すると、風船は風が煽ったおかげであまり上にはいかず、横にスライドしていき、向かいの道で再度浮上を始めた。


その風船に気づいた青いつなぎ姿のお兄ちゃんが、手入れをしていたバイクにひょいっと乗り、ジャンプしてその風船の細い糸をキャッチした。


その光景を見ていた母は何が起こったのか、わけもわからず状態。

私は出そうになった涙を拭いて、ただお兄ちゃんが持っている赤い風船を凝視した。



そこからお兄ちゃんは車が来ていないことを確認し、道路を横断して、私のところに来た。


すごいことが起こったんだ、ということは理解していても、かける言葉が思いつかない(語彙力ないから)。

お兄ちゃんが屈んで私と目線を合わせ、


「これ、君の風船?」


と聞いて来たので、「そう、なの」と呟くとそっか、じゃあもう離さないでね!と風船を繋ぐ糸を手渡してくれる。


隣で母はひたすら感謝の言葉を述べ、お兄ちゃんは「いや、大したことじゃないんで」と笑って直ぐに自分のや持ち場につく。



時刻通りにきたバスに乗り、バイクのお兄ちゃんに手を振る。

彼はニカッと笑って手を振り返してくれた。


1度は失うはずだった風船がこうして戻ってきてくれている。それも嬉しかったし、瞬間的に判断してああいうキャッチの仕方をされ。

私はもう惚れるしかないなと思いました。

(後日記憶なくなる(笑))



風船如きに一生懸命になってくれたお兄ちゃん。

今どうしているのかしら???

今会えるのなら、困っている人に何かしようと行動する大切さを学ばせてくれてありがとうと言いたい。


ヤマハのバイクを扱っている、お兄ちゃん。

もうおじさんになってる頃かな。


アクロバティックな風船の奪還の仕方だったから、お兄ちゃん覚えていないかしら??


そんな方々にお会いし、その頃の話と近況を話し合う。そんな場があってもいいかも!