思い出の代替なんてない。
変えられないもの。
幼稚園だった頃。
フリーマーケットで我が家も雑貨や服など売っていたの。
ただ隣で見ているだけだったからすぐに飽きちゃって。
一旦帰宅する父に、当時お気に入りのポケモンカードを持ってきてもらうよう頼んだわ😌
退屈しのぎに眺める為に。
ポケモンカードを待っている間、
会場で仮面ライダーショーをやっていたの。
大好きだった私は親に言って、見に行っていたわ。
かっこいい仮面ライダーを見れて気持ちもホクホクし、自分のブースに戻ったの。
そしたらそこには…………
私のポケモンカードたちが商品として並べられていたの。
しかもたたき売りの如く、1枚10円。
どの種類も、10円。
状況が読み込めず、頭が真っ白になって、
その瞬間の記憶がぽっかり抜けてしまっているの。
ただ、急いでポケモンカードを引っ込めてもらったのは覚えている。
その当時はポケモンが爆発的人気で、カードも友達同士で交換し合い、レアカードを集めたり、お気に入りを集めたりで、思い出が1枚1枚詰まっていたの…。
だから、残っていた数枚のカード(高確率で出てくる、いわゆる雑魚カード)を見た時、
涙が止まらなかった。
買い集めて、キャラクターを集め、
レアカードを友達と交換してコレクションして………
毎日眺めては満足した100枚以上のカード
もといポケモンたち…………
そんな思い出や日々が一気に溢れて、
泣き叫んだ。
もうぎゃんぎゃんと。
それに気づいた両親はオロオロ。
何事かと気づいていない様子。
「私のカードがぁぁぁぁ~~~~!!!!」
と叫んでようやくわかってきたようで、なだめ始める。
でも止まらない。
泣きながら私は「なぜ売ったんだ」と金切り声で責めた。
すると持ってきた父が
「売っていいから持ってこいと言われたのかと思った」
と。
それを聞いてわなわな震える私に慰めるように母が
「で、でもっ!ポケモンカード人気あるみたいで、男の子たちがわらわら集まってすごく売れたのよ。ほとんど売れちゃった!」
と、その時に私にはあまりにも残酷なことを笑顔で言ってきたわ。
ウルトラぎゃん泣き。
「レアカードたくさんあったんだし、そんなの売れるに決まってる!!!!」
安さに男の子たちが驚き、嬉嬉として買っていったという。
泣き叫び、
声は枯れ、
仮面ライダーを見た感動なんて掻き消えていた。
フリマが終わっても、私はずーーーっと不貞腐れたまま。
話しかけられても、
無視するか頷いたりするくらい。
絶対、許せなかった。
大事なものを、大事な思い出を
本人に聞きもせず、
安くいとも簡単売りさばかれてしまった。
許すまじ…………
私の恨みは強かったわね😎
後日、あまりにも不貞腐れているものだから、
なんとか機嫌を直してもらおうと、
父が新しいシリーズのポケモンカードを買ってあげると言ってきた。枚数も以前持っていたのと同じくらい。
初めは「そういうことじゃない!!!あの、私のお気に入りだったポケモンたちが!!!欲しいの!!!あれじゃなきゃ、ダメなの!!!」と意地を張っていたが、
あまりにもしつこく言ってくるのと、
これで少しでも気が晴れたらという一縷の望みから、買ってもらうことに。
新品のポケモンカードのパックをビリビリ破いては、中身を確認する。
新しいポケモンたちがいた。
レアカードを出た。
全部開け終わった後、
何も残らなかった。
埋めようとした思い出や、喪失感は
そのままだった。
空っぽだった。
普段ならおもちゃなどを買ってもらうことはめったになく、すごく嬉しいこと。
買ってもらって嬉しくないことはなかった。
でも、現在にまで至っても、
やはりその時のポケモンカードは、
人生で一番
買ってもらっても何も嬉しくなかった。
そのポケモンカードが嫌だったわけじゃない。
普通に買ってもらっていたら、さぞかし喜んだでしょうね😌
でも、その時は。
思い出のこびり付いたものの代わりとはならなかったから、
満足感なんてなかった。
買ってもらっても、
思い出のカードは帰ってこない。
そのカードの代わりなんて、ない。
それをすごく強く思い、
胸に刻んだ園児の私💄💋